この「ケーキの切れない非行少年たち」の中で
知的なハンデキャップを持ち苦しむ少年たちは
現在の基準では障害と診断されず
実際の教育現場においても見過ごさることが
とても多いと言います
そして勉強にも社会にも
付いて行けなくなった少年たちは
非行を繰り返す悪循環になることが多いそうです
彼らが起こした暴行、傷害事件を
なぜ反省できずに繰り返してしまうのか?
それは、自分のしたことを洞察して
反省する以前のところに問題がある、と
宮口先生は指摘しています
それは、反省以前に
自分やその周りの状況を
見るチカラが異常に弱く
そして聞き取るチカラも弱く
何を見ても、何を聞いても
すべて歪んで見えている、聞こえている可能性が
あることをこの本は示してくれています
この本は眼とその人の精神状態(ココロ)の繋がりを
再認識させてくれるともて興味深い内容でした
少年院の中で最も手がかかる少年に
認知症患者などに使用する視覚認知の
チカラをみるためテストをしたそうです
上記の図1−1を見ながら
手元の紙に写すというものだそうです
その少年は意外にも一生懸命に取り組んで
写したもの下の図1−2です
これには僕も驚きました
これは写すのが苦手という単純な問題ではなく
凶悪な犯罪を行なってきた少年の眼に映る映像が
これだけ歪んで見えているということが
大きな問題ということですね
これでは、この少年が小学生だったころ
こんな風にものが歪んで見えていたら
教科書に書いてあることを読むことも
難しかったでしょう
話を聞いたり、周りの状況を読むことも
難しかったでしょう
そうすると、対人関係で失敗したり
イジメにあったりしたでしょう
これが非行少年少女じゃなくても
学校の勉強についていけない子供たちの中には
書いてある内容を理解できる、出来ないの
知能レベルの問題じゃなく
そもそも眼から情報がうまく入ってこないために
内容を理解出来ない子供たちも
多いんじゃないか、と想像します
そしてこの上の図2−1と図2−2が
ある粗暴な言動が目立つ少年の面接をした時に
A4の用紙に丸い円を描いて
「この丸いケーキを3人で食べるとしたらどうやって切りますか?」という問題に
悩み続けてその少年は上の図のように線を引いたのです
これは小学校の低学年の子供が描いたわけではなく
殺人などの凶悪犯罪を犯した中高生の年齢の非行少年たちであることが
やはり大きな問題なのです
学校では「写す」「数える」という土台があることを前提に
漢字が出来なければひたすら漢字を写す練習をさせる
計算が出来なければひたすら計算ドリルをやらせる
でも、それ以前にちゃんと文字や数字を
見るということが出来てない場合は
いくら繰り返しても苦しいだけです
例えば、ADHD(注意欠陥多動症)やASD(自閉症スペクトラム症)など
診断がつく子供たちは周りの理解も得られやすいですが
IQテストで70以上あれば
「知的には問題ないので、様子をみましょう」となり
診断がつかないままただ見逃される場合も多いそうです
このようなケースは
一度、眼が原因ではないか、と疑うことも重要です
見ることは誰からも習いませんから
問題があっても本人は誰にも言わないことが多いです
一度、視力とは違う側面から
当店で眼を測ってみてはいかがですか?